コンピュータが普及して、画面を見ながら仕事をする機会が多くなりました。それと共に「目が疲れる」という訴えをする人が増えています。このような疲れ目のことを、「眼精疲労」と呼んでいます。
眼精疲労は病気そのものの名前ではなく、他に原因となる病気や状態があって、その結果として出てくる症状につけられた名前といえます。
不思議なことに、目が疲れるとは言いますが、耳が疲れるとか、鼻が疲れるとかは言いません。目の疲れは、全身的な疲れを、目という部分に代表させた一つの表現方法とも考えられます。
その意味で、目の疲れは、全身的な疲れと同じように、健康への注意信号と考える必要があります。
どのような症状があるときに眼精疲労というのか、下記の表でチェックしてみてください。
「Yes」が多いほど眼精疲労度が高くなります。
眼精疲労度チェック
- 目が疲れる
- 目がぼける
- 目が重い
- 目の芯が痛い
- 目が充血する
- 涙が出る
- 頭が重い
- むかむかする
- 肩こりがある
- 十分に睡眠をとっても、目の疲れがとれない
眼精疲労の原因
眼精疲労の原因となる病気や状態には以下のようなものがあります
目の病気
当然ながら原因となる病気の第1は、「目の病気」です。大きく分けて4種類の病気があります。
- 調節性
近くのものを見るときの目の調節機能が衰えた場合で、老眼、遠視、乱視などが代表的です。目の使いすぎ、眼鏡の不適合による眼精疲労もこの中に入ります。 - 筋性
目を動かす筋肉の異常によるもので、斜視(やぶにらみ)や輻輳(目を寄せる力)異常などがあります。 - 不等像性
左右の目の網膜に映る像の大きさや形に違いがある場合で、両眼の視力差が大きすぎるときなどに起きます。 - 症状性
結膜炎や緑内障などの目の病気の症状の一つとして、眼精疲労が見られることがあります。
全身の病気
全身的な病気の一症状として眼精疲労が見られる場合です。高血圧症、低血圧症、動脈硬化症、糖尿病、内分泌疾患、貧血症、腎疾患、肝疾患などがあげられます。
外的環境
照明の不良、色彩の不良、有害光線、光のちらつき、温度環境などが眼精疲労の原因になる場合です。
心の病気
精神不安定、ノイローゼ、欲求不満など、心の状態の異常に眼精疲労の原因がある場合です。
VDTによる障害
外的環境が原因となって起きる「眼精疲労」の代表的なものに、VDTによる障害があります。VDTというのはVisual Display Terminalsの頭文字をとったもので、コンピュータなどのディスプレー装置を見ながら行う作業のことです。
VDT作業に伴う健康上のトラブルは、大きく3つに分類することができます。
- 目の症状
目が疲れる、目がチカチカする、目がショボショボする、目がかすむ、目がまぶしいなどの症状が出ます。ディスプレー画面の明るさ、コントラスト、ピント調節、部屋の照明、VDT作業時間の長さなどが問題となります。 - 頸・肩・腕・腰の症状
肩・頸筋がこる、背中が痛い、腕や手足がしびれる、腰が痛いなどの症状が出ます。机、椅子、作業機器の配置、作業姿勢の適否などが問題になります。 - 精神心理面の症状
頭が痛い、まぶたがピクピクする、胃の調子が悪い、イライラする、夜眠れない、仕事にミスが多いなどの症状が出ます。
眼精疲労の治療
眼精疲労の発生には、複数の原因が関連しあって悪循環を起こしていることが多く、目―身体―環境―心といった悪循環を断ち切る必要があります。眼精疲労の原因となる病気のなかには、重い全身病の始まりということもありますので、眼精疲労が続くときには、かかりつけ医や眼科医に相談してください。