「ばてる」という言葉を国語辞典で調べてみると、該当する漢字はなくて、俗語のようです。意味は、「疲れてぐったりする」「疲れて動けなくなる」ということです。
したがって「夏ばて」というのは、夏という季節に伴って、疲れてぐったりしたり、動けなくなること、ということになります。
暑いときに「ばて」を感じることは、ある程度は誰にでもあることです。
下記の表で、「夏ばて」をすると、具体的にどんな症状が出るのか、チェックしてみてください。
「Yes」が多いほど夏ばて度が高くなります。
夏ばて度チェック
- 疲れやすく、だるい
- 何をするにも気力がない
- あくびがよく出る
- ぐっすり眠れない
- 朝起きたとき、疲れが残っている
- 頭痛、肩こりがひどい
- 食事がおいしくない
- 胃がもたれる
- 下痢気味である
- 体重が減った
「夏ばて」というのは、本来は「病気」ではなくて、単なる状態ということですが、対応を誤ると本当の病気になりかねませんし、「夏ばて」だと思ったら、実は本当に「病気」だったということもありますので注意が必要です。
とくに、「疲れやすく、だるい」という自覚症状は、この特集のテーマでもありますが、「疲れ」の自覚症状には数多くの病気が潜んでいる可能性があります。
「夏ばて」だと思っても、念のため他の病気についてもチェックをしてみてください。そして、「夏ばて」の症状がいつまでも続くときには、必ずかかりつけ医に相談してください。
夏ばて予防対策
「夏ばて」の本態をずばり一言で言えば、疲労の蓄積と胃腸への負担のための症状ということになります。
したがって、ごく当たり前のことですが、「夏ばて」の予防に必要なのは、規則的な生活と十分な睡眠、バランスのとれた食事ということになります。以下に具体的な注意点を列挙してみましょう。
- 早寝、早起きを心がける。睡眠不足が夏ばてを助長する。
- できれば、お昼寝を上手に活用して、疲労の回復を図る。
- 仕事量を平生よりやや少なめに設定して、疲労が蓄積しないように注意する。
- 冷たいもののガブ飲みを避けるようにする。
- 食事の内容が偏らないように注意して、バランスのとれた食事のメニューを心がける。
- 食欲のない場合、普段より少し塩味と辛味を強くするのもひとつの良い方法。
- 蛋白質(脂肪の少ない肉や魚、大豆製品)を十分にとる。
- ビタミン(野菜、果物)を平生より多めにとるようにする。
- 牛乳は夏ばて対策として良い飲み物なので、積極的に利用すると良い。ただし牛乳を飲むと下痢をする人は逆効果。
- 暑さ対策としてクーラーを上手に利用する。使いすぎは逆に「クーラー病」になる。
熱中症にも要注意
「夏ばて」とは直接関係ありませんが、暑い夏に起きる健康障害の代表として、熱中症に触れておきます。
熱中症は、夏の高温・多湿の環境のために体温調節機能の低下、脱水状態などが生じ、その結果として起きる病気の総称です。熱中症には、以下のようなタイプがあります。
熱失神
末梢の血管が拡張して血圧が下がり、脳の血流量が減少するために、めまい、失神などの症状が起きます。顔面が蒼白となり、脈は速くて、弱くなります。
熱疲労
脱水による症状です。倦怠感、脱力感、めまい、吐き気などの症状が見られます。
熱けいれん
大量に汗をかいたときに、水分だけしか補給しないと、血液中の塩分が不足して、下肢、腕、腹部などの筋肉に痛みを伴う「けいれん」が起きる状態です。
熱射病
体温が40~42℃に上昇し、顔面の紅潮、皮膚の乾燥、呼吸困難、意識障害などが出現します。
体温が42℃を超えると、肝臓や脳などの重要な臓器の細胞が破壊され、生命にかかわる重篤な状態となり、死亡する場合もあります。
熱中症の予防対策としては、高温多湿の環境を避けること、水分と塩分の補給を十分にすることが重要です。